猫も我々人間と同様に色々な病気に掛かります。ワクチン接種(予防接種)を受ける事で防げる病気があります。この記事では、ワクチンの接種で予防が出来る病気とその種類を解説していきます。
猫のワクチン接種(予防接種)について
ワクチンの接種は必要?
猫のワクチン接種は必要不可欠です。ワクチン接種により予防をする事で、様々な感染症から猫の病気を防ぐことが出来ます。万が一感染したとしても重症化をさせない為にも重要です。私は無知識だった結果、大切な愛猫を守る事が出来ませんでした。愛する猫の為にも、飼っている環境や状況に応じて適切なタイミングでワクチンを接種する事が大事です。
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ワクチンで予防が出来る病気
以下の病気について、ワクチンで予防をする事が出来ます。
コアワクチン(全ての猫に推奨)
・「猫ウイルス性鼻気管炎」(FVR)
・「猫カリシウイルス感染症」(FCV)
・「猫汎白血球減少症」(FPLV)
ノンコアワクチン(状況により選択)
・「猫白血病ウイルス感染症」(FeLV)
・「猫クラミジア感染症」
・「猫免疫不全ウイルス感染症」(FIV)
・「狂犬病」※1957年に猫での発生を最後に動物での発生は無し
引用 厚生労働省 狂犬病に関するQ&Aについて
ワクチンの種類
用途・目的別に合わせて混合ワクチンと単体ワクチンがあります。
対応ワクチン | 3種混合 | 4種混合 | 5種混合 | 単体 |
---|---|---|---|---|
猫ウイルス性鼻気管炎(FVR) | ● | ● | ● | |
猫カリシウイルス感染症(FCV) | ● | ● | ● | |
猫汎白血球減少症(FPLV) | ● | ● | ● | |
猫白血病ウイルス感染症(FeLV)※ | ● | ● | ● | |
猫クラジミア感染症 | ● | |||
猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)※ | ● |
ワクチンの費用
ワクチンの費用は動物病院によって様々ですが、おおよそ以下の通りです。
・3種混合ワクチン 3,000円から5,000円程度
・4種混合ワクチン 5,000円から8,000円程度
・5種混合ワクチン 5,000円から8,000円程度
・猫白血病 単体 3,000円から6,000円程度
・猫エイズ 単体 3,000円から6,000円程度
私が利用している動物病院では3種混合で5,500円、猫白血病(FeLV)単体で6,000円でした。詳しくはかかりつけの動物病院に確認してください。

NOTICE
接種出来るワクチンの種類も動物病院によって変わります。
どのワクチンを接種すれば良いの?
全ての猫に接種が推奨される「コアワクチン」
コアワクチンについては、全ての猫に接種が推奨されるワクチンです。「猫ウイルス性鼻気管炎」「猫カリシウイルス感染症」「猫汎白血球減少症」については、致死率が高い・極めて感染力が高い為、室内飼い・単頭飼いでも迷わず接種するべきです。3種混合ワクチンが一般的です。
状況に応じて接種を選択する「ノンコアワクチン」
ノンコアワクチンについては、特定の環境下において接種が推奨されるワクチンです。屋外を行き来出来る飼い方や、多頭飼いなど他の猫との濃厚接触(グルーミング・喧嘩等)の可能性が高い場合に接種するべきです。3種混合ワクチンに「猫白血病ウイルス感染症」(FeLV)を加えた4種混合ワクチンと、更に「猫クラジミア感染症」を加えた5種混合ワクチンがあります。「猫免疫不全ウイルス感染症」(FIV)については単体ワクチンとなり、「猫白血病ウイルス感染症」(FeLV)については単体のみのワクチンもあります。
いずれにせよリスクが低い場合はそれ程の心配をする必要は無いですが、リスクが高い場合においてはノンコアワクチンの接種は検討した方が良いでしょう。
POINT
●リスクが低い 室内で1頭飼い・ペットホテル等外部を利用しない猫
●リスクが高い 室内外の出入り・多頭飼い・ペットホテル等を利用する猫
尚、「猫白血病ウイルス感染症」FeLVと「猫免疫不全ウイルス感染症」FIVについては接種前のウイルス検査が必要となりますので、かかりつけの動物病院に相談してください。

NOTICE
猫白血病ウイルス感染症(FeLV)については唾液による感染の可能性があるので、ペットホテル等他に預ける機会がある場合はワクチン接種をしましょう。
FeLVのワクチン接種の検討の必要性
WASAVAの犬と猫のワクチネーションガイドラインによると、”「猫白血病ウイルス感染症」(FeLV)については、ノンコアワクチンに分類しているが、個々の猫のライフスタイルや曝露リスク、また地域における感染率によって決定されるべきであることを十分に理解している。FeLVの感染率は、今日では予防プログラムの成功により世界の多くの地域で顕著に低下しているもののFeLVがまだ流行している地域では定期的なワクチン接種によって、防御強化の恩恵を受けるべきと考えている。”とあります。
つまり、日本国内においては野良猫におけるFeLVの感染率は50%程度と高い数値となっており、保護猫として我が家に迎え入れている家庭も少なくない状況下おいては、感染のリスクは決して低くない事が分かります。従って、4種混合もしくはFeLVの単体のワクチンの定期的な接種を十分に検討する必要があると言えます。
ワクチン接種の回数と時期(ワクチネーション)
ワクチンは一度接種したら安心というわけではありません。猫の年齢や状態に応じて適切な時期に適切な接種を行う事で、最大限の予防効果を得られる事が出来ます。
幼猫(1歳未満)のワクチネーション
初年度は6-8週齢以降に1回目の接種をし、その2~4週間後に2回目の接種を受けます。それ以降は年に1回の追加接種を受ける事が望ましいとされています。
成猫のワクチネーション
初めて受ける1回目の接種の後、おおよそ4週間後に2回目の接種を受けます。それ以降は年に1回の追加接種を受ける事が望ましいとされています。

WSAVAの犬と猫のワクチネーションガイドラインでは追加接種は3年に1回で良いとあります。
ワクチン接種によるリスク
ワクチン接種は必ずしも安全とは言えず、リスクもあります。
ワクチン接種後の副反応
接種後24時間以内に虚脱感・顔面膨張・発疹・嘔吐・下痢・呼吸困難などの症状が出る可能性があります。特に接種直後30分以内は急激な容態変化(アナフィラキシーショックなど)となる可能性がある為動物病院で待機する事が推奨されております。

人もCOVID-19のワクチン接種などで副反応が出る事がありますね
猫注射部位肉腫について
稀に注射薬などの刺激部位にできる腫瘍のことです。注射に含まれるアジュバント(補助剤)が作用しているとも言われています。可能な限りアジュバント非添加ワクチン(ノンアジュバント・タイプ)を接種した方が良いです。また、注射針を刺す場所も重要になってきます。腫瘍化すると命を落とすような危険が伴うため、ワクチン接種時などは肩甲骨には打たず、四肢(切除などのリスクを考慮した場合後足)に打つ事が望まれます。
POINT
●ワクチンの種類(ノンアジュバントか否か)の確認
●ワクチン接種時など注射針を打つ場所の確認(四肢・特に後足が望ましい)

特に打つ場所については必ず、かかりつけの動物病院に確認しましょう。
まとめ
いかがでしょうか。適切な時期に適切なワクチン接種を受ける事で猫が病気に掛かる可能性を減らす事が出来ます。猫も人と同じく命はお金には換えられません。病気の治療は人間のような公的保険による援助が無い為高額になります。ワクチン接種が前提としているペット保険も多いです。
まとめPOINT
●予防出来る病気はワクチン接種でリスクを抑え愛猫を守る
●適切な時期に環境・状況に応じたワクチン接種を受ける
愛猫と末永く暮らせるように・・・
後から後悔しない為にも・・・
愛猫を病気から守り抜き1日でも長く共に過ごしましょう。