8月15日になってもかかりつけの動物病院からのリンパ腫の確定診断の回答は無かった為、8月16日にセカンドオピニオンを受ける事にしました。ミクルの体調がどんどん悪化していく状況の下、これ以上の状況悪化は深刻な事態を招いてしまうと思った私たちは、治療をいち早く開始して頂けるセカンドオピニオン先の動物病院(以後、SC動物病院)に転院する事を決意しました。
ミクルの体調について
ミクルの体調については、以下の通りでした。
(8月10日夜~8月16日朝)
・食欲 相当の低下。ドライフードは喉を通らず、ペースト状の流動食のみ少量。
・体調 ぐったり。食べる以外は横たわっている状態が日々悪化。
・排泄 少量・軟便。8月15日の夜からトイレが上手く出来なくなった。
・体重 4.80kg(8月13日計測。前週比-0.35kg)
食欲は、ミクルが初めて吐き戻しをした日以降は、ガツガツ食べていたドライフードは食べなくなりました。ちゅ~るのようなペースト状のものは喉に通りやすいようで食べてくれました。
体調については、日を追う毎に、ミクルは食欲がなくなり常に横たわるように寝そべる状態が続くようになりました。口で呼吸をする事は無かったですが、息はしずらそうでたまに喉から異音(拭き戻し笛のような音)が出ていました。
排泄については食欲低下に伴い、排せつの量も低下。8月15日以降はトイレまでは行くも、枠の中で上手に出来なくなり体調悪化の深刻さが伺えました。
体重の減少が著しいです。以前はちょっと丸っこく見えていましたがそれが無くなりました。ご飯が喉を通らない影響だと思うのでとても心配になりました。

トイレが出来なくなった時には相当の焦りを感じました

祈る思いでセカンドオピニオンを受けました
セカンドオピニオンの実施
8月16日、セカンドオピニオンを受ける為SC動物病院へ初めて行きました。少し離れているのですが車で20分程度の距離の場所なので通えなくもない距離でした。
リンパ腫の確定診断の可能日について
細胞診によるリンパ腫の確定診断については、かかりつけの動物病院とほぼ同じ説明でした。やはり、明らかに素人目からみて疑わしいと推察しても似たような病気もある為、違う可能性がある為検査センターの確定診断が無い限りは抗がん剤治療に移行出来ないとの事でした。しかし、SC動物病院では検査センターとのオンラインで繋がっており、即日の確定診断が出来るとというお話でした。
※外注に頼る動物病院では、細胞診による病理検査は通常5日から1週間程掛かるみたいですが、ここの動物病院では、アイデックス検査センターとのオンラインでの病理診断に対応しており、当日から抗がん剤の治療を受ける事が出来ました。
※オンライン診断の場合は、オーナーの承諾が前提との説明でした

ミクルが大変な状況だったので、直ぐに治療が開始出来るという言葉に大いに期待をしました
リンパ腫の種別について
かかりつけの動物病院で説明を受けた内容(レントゲン写真の胸部の肺部分の白い影等)を伝えたところ、以下のような見解でした。
・大細胞型 細胞診で検査する大細胞型
・前縦郭型 若齢猫でFeLVだと多いのは圧倒的に大細胞型
従って、胸部に白い影あるという事、ミクルがFeLV(猫白血病ウイルス感染症)で、若齢猫という事でおそらく前縦郭型のリンパ腫なのではというお話でした。

色々と詳しく教えてくださるので参考になりました
かかりつけの動物病院での血液検査の評価
貧血ぎみで、血小板が25K/μLと少なく抗がん剤を投与するにあたり、一番ダメージ受けるところが赤血球・白血球・血小板を作っている骨髄で、これらの量が少ないと抗がん剤が打てないとのお話でした。
※投与できる基準は、好中球2.5K/μL以上・血小板75K/μL以上と説明を受けました。
※抗がん剤の種類により投与の基準は変わります。
基準を満たしておらず抗がん剤の投与が出来ない場合は、投与出来る状態にする為にステロイド(プレドニゾロン)であったり、L-アスパラギナーゼを使い(腫瘍細胞を栄養欠乏状態にして)リンパ球を無くす事で状態を持ちなおすという事でした。
・L-アスパラギナーゼも抗がん剤のひとつです
ミクルの治療はSC動物病院で行って頂く事を決意
色々と詳しくお話を伺った結果、私たちはSC動物病院へ転院し、ミクルの治療を継続して頂く事に決めました。大きな理由は以下の通りです。
・細胞診による確定診断が当日中に分かる事で早期治療開始が出来る
・質問に細かく回答を頂ける上詳細で理解しやすい
・専門性が高く治療を任せても安心出来そう
という事で相談した結果、かかりつけの動物病院へはミクルの治療について、SC動物病院で治療をして頂く旨を伝えました。

早期に治療を開始出来る動物病院へミクルを委ねる事にしました。
※結果的に、かかりつけの動物病院からの細胞診の確定診断の回答は8月21日の夜でした
抗がん剤治療の開始
細胞診による診断の結果、リンパ腫で間違いないとの事だったので、抗がん剤治療を開始して頂く事になりました。
血液検査による評価
血液検査の結果は、好中球は7.31K/μLはありましたが血小板が66K/μLしかなく、抗がん剤の投与の基準外でした。しかし、血液検査だけでは大小のバラつきがある為誤差が生じやすいので、必ず血液の標本(血液塗抹標本)をで正確な数を調べているとの事でした。結果、血小板は90K/μL以上あったので、抗がん剤の投与を開始するとの事でした。

プロサイト(自動血球計算装置)っていう機械を使っているみたいですね
抗がん剤治療を開始するにあたって
抗がん剤投与の留意点・副作用
抗がん剤を投与に際し、以下の点を留意すべき事としてお話を頂きました。
・抗がん剤は癌細胞を破壊する薬であるが、正常な細胞も破壊する
・分裂や新陳代謝が多い臓器(細胞)が破壊されて副作用が生じる
・抗がん剤の種類によって副作用が違う
抗がん剤の一般的な副作用・注意点として以下の説明を受けました。
・骨髄抑制 骨髄の働きが低下し免疫力が落ちる事で、感染症のリスクが上昇
・腫瘍崩壊症候群 腫瘍が急速に死滅する事による体のバランスが崩れ腎不全になる可能性
・胃腸障害 吐き気・食欲不振・下痢
・脱毛 髭の脱落、毛の色が薄くなる・脱毛(脱毛は猫では殆ど無い)
・曝露 抗がん剤の一部が糞尿で排出(触れると有害)
曝露については特に注意が必要で、投与後48時間以内は絶対に素手で触らない・他の猫にも触らせない必要があり、多頭飼いの場合は隔離等の措置は必要になります。

抗がん剤には様々なリスクがある事が判り、大いに勉強になりました。
1回目の抗がん剤はビンクリスチンとの事です。ビンクリスチン特有の副作用の説明も受けました。
・末梢神経障害 胃腸が動かなくなる(便秘・腸閉塞の可能性)
ビンクリスチンは、骨髄抑制が他の抗がん剤より早く5日目くらいから、胃腸障害は3日間程続くようです。
治療後の体調管理について
治療後の体調管理について、以下のような説明を受けました。
・呼吸数の増加 1分間で60回を超えた場合は注意
・体温について 腫瘍の影響で熱が出ていて高めだが、それを考慮しても40度超えた場合
平時は39.3度以上(たとえ元気でも熱がある場合)
※(投与により)白血球が減る影響で感染症の可能性を考慮
・食事について ごはん・おやつは問わず食べる事が大事
帰宅後は体調管理に気をくばり、少しでも異常が感じられた場合は直ぐに病院にきてくださいとの事でした。尚、ここの動物病院では休診日でも9時から17時半までの間は人がいるとの事。診療時間外においても、提携している夜間救急のセンターで対応をして下さるとの事で安心が出来ました。

何かあったら対応が出来る体制が整っているていうのは安心感があります
今回、ミクルへの抗がん剤投与は初めてなので、副作用の度合いが深く読めないとの事。ビンクリスチンは腫瘍細胞を小さくする効果が高い分、体にダメージを与える症状も高くなるとの事でした。
入院・自宅療養それぞれのメリット
抗がん剤の治療中、自宅で療養するか・動物病院に入院をするか聞かれました。それぞれのメリットについて以下の通り説明を受けました。
入院をするメリット
・血液の状態が確認出来る事で変化・異変に早く気が付ける。
・ICUの中にいるので酸素濃度が高く呼吸が楽にできる。
・体調・食欲など状況に応じて適切・迅速な点滴が可能。
自宅療養のメリット
・住み慣れた環境でリラックス出来る。
・夜の間、様子の確認できる。(その動物病院は夜間不在)
・酸素ボックスレンタル可。※1500円程度/日
私たちは、ミクルを家で見守る事にしました。やっぱり、自宅が一番落ち着いて居心地が良いかなと思ったからです。

やっぱり自宅が一番ニャン!

少しでも多くの時間を一緒に過ごす事にしました
抗がん剤治療(1週目)のまとめ
という事で、1週目の治療は終了しました。余談は許さない状況ですが、ミクルの体調が本当に悪くなっていたので、迅速に治療をして頂いた事でひとまず安心をしました。

引き続き応援よろしくニャン!
処方箋
・プレドニゾロン錠 ※ステロイド剤
1日1回7日分
・セレニア錠 ※吐き気止め
1日1回3日間
・オメプラゾール錠 ※むかつき抑制
1日1回5日分(夜・3日間 その後1日おき)
・プロナミド錠 ※胃腸(おなか)を動かす薬
1日2回7日分(朝夜 1/2錠ずつ)
※プロナミド錠は、ビンクリスチンを投与された時に出る薬で、ビンクリスチン特有の副作用を緩和する為に処方されます。
使用した抗がん剤
・ビンクリスチン
診療費用
・61,056円(税込)