EP8・愛猫ミクルのFeLVによるリンパ腫が再燃状態に(6週目・P2)

猫のきろく

 本日9月20日は、延期となった5回目の抗がん剤投与を迎えた日でしたが、完全緩解に近かったリンパ腫が僅か1週間の間に大きく再燃していた結果、予定していたプロトコール「ノースカロライナ」に基づく抗がん剤ではなく、急遽L-アスパラギナーゼに変更の上、今後についてはレスキュープロトコールへの変更を示唆されました。

 ※本来は9月13日に5回目の抗がん剤の予定でしたが、コンディションが悪かった為9月20日の6週目に延期となった結果、今回の状況に陥りました。 

ミクルの体調について

 9月16日の動物病院からの帰宅後、ミクルのコンディションは以下の通りでした。

(9月16日夜~9月20日朝)
・食欲 17日から低下。特に19日から20日は殆ど食べない。
・体調 体調悪化。徐々に横たわる事が多くなっていく。
・排泄 軟便ではないけれど少なめ。
・体重 4.10kg(9月17日計測。前週比̟̟+0.05kg)

  食欲についてはまたまた悪化していきました。カリカリ(ドライフード)は16日の夜に3g程食べて以降、食べることはありませんでした。17日はウェット30g・ちゅ~るごはん2本・手作りのささみスープ・ささみ10g。18日はウェット35g・ちゅ~るごはん6本・手作りささみスープとささみ10g。19日はちゅ~るごはん2と1/2本・おやつちゅ~る2/3本・ささみ5gと、体調悪化と合わせて食べなくなっていきました

 体調についてはどんどん動かなくなっていきました。まったく遊ばなくなり、特に18日以降、直ぐに横たわる・隠れたがる状況になったので、8月10日にリンパ腫の疑いと診察された時のミクルの体調の状態と酷似していたので、素人なりに「リンパ腫がまた悪くなったのかな」と推測はしておりましたが、本日の診断でリンパ腫の再燃が原因だったという事が判りましたのでやはりそういう事だったんだなっと落胆しました。

 排泄については、前回の診療時より下痢は収まりました。しかし、食べる量が多くない分排便量としては少なめなのがずっと続いています。

 体重については、リンパ腫が発覚して以降初めて上昇に転じました。良くない事ばかりが続いているので、こればかりは本当に嬉しかったです。ですが、17日以降に体調の急激な悪化による食欲不振が続いていますので、また体重の減少に転じるんじゃないかなと心配しています。

  

アび
アび

毎日が一進一退の状況で本当に落ち着きません

血液検査・血液化学・免疫学検査の評価

 今回、血液検査・血液化学・免疫学検査の評価は以下の通りでした。
 

・貧血(HGB)  悪化(6.3 → 5.7g/d1)参考値より下
・白血球     大幅に上昇(15.98 → 52.54K/μL)参考値より上
・白血球(好中球)大幅に上昇(12.53 → 24.62K/μL)参考値より上
・血小板     減少(108 → 79K/μL)参考値より下
・赤血球     減少(3.57 → 3.15M/μL)参考値より下
・レチクロサイト 大幅に上昇(27.8 → 87.3K/μL)赤血球の元 参考値より上
ビリルビン   上昇(0.2 → 0.7mg/d1)参考値内
AST      大幅に上昇(32 → 212IU)※肝臓の酵素
ALT      大幅に上昇(29 → 227IU)※肝臓の酵素
・vf-SAA     大幅に上昇(4.18 → 64.49μg/mL)※炎症の値 参考値より上

 全体的に良くはない状態との言葉から始まりました。貧血はぎりぎり持ちこたえているが、白血球が50K/μLともの凄くあがっていて、血小板の回復もいまいちとの事。赤血球の元であるレチクロサイトが増えていて新しい赤血球を作っているという指標は出ているが、かなり大型のリンパ球が末梢血にも出てきているので骨髄浸潤が進んでいるとの見解でした。

※浸潤とは、腫瘍(がん)が周囲に広がっていく事を言います。


 レントゲンの画像については、1週間前とは全然違う状況で、前胸部が真っ白になっていて胸水も溜まってきてるとの事でした。胸水を調べてみるとかなり大型のリンパ球が出てきていてリンパ腫が再燃しているとの見解を示されました。

僅か1週間で、抗がん剤を投与する前似たような状況となってしまいました。

9月13日の先生の見解では、完全緩解状態に近く1週間(抗がん剤の投与が)延期したとしても問題はないかなというお話でした。

アび
アび

先週の時点で完全緩解に近いと言われただけに何故という気持ちです

アび妻
アび妻

期待していただけにこの結果にショックを隠し切れませんでした


  ASTとALT(肝臓の酵素)が上昇している事について、8月16日に1回目のビンクリスチン導入後の8月23日の血液検査で上昇していたのはビンクリスチンの副作用による一過性で収まっていたけれど、今回は使っていないのに上昇しているので肝浸潤では無いかなという見解でした。末梢血まで腫瘍細胞が出ていれば、基本的には肝臓などにも入り込んでる可能性があるとの事です。

 また、発熱があるようです。腫瘍熱で発熱することも、中枢転移で発熱する事もあるみたいなのですが、vf-SAA(炎症の値)があがっていて、黄疸まではいってないけどちょっと血腫黄染と言ってビリルビンの値も高いくなっているとのお話でした。胸水がリンパ種の方から溜まっているっという可能性は充分あるのだけれども、FIP(猫伝染性腹膜炎)の可能性も捨てきれないようで、PCR検査をしたいとのお話でした。抗がん剤治療によって免疫が低下させる治療により、FIPが表面化している可能性がある為とのことでした。

※FIP(猫伝染性腹膜炎)とは一例として、腹部が膨らみ、元気・食欲が無く発熱が生じ、体の痩せ・下痢が続く等の症状が出るとの事です。また肝臓や腎臓が悪化する事が多く、重い病気になりやすいようです。


 今回、気になった事としてミクルの瞳孔の左右の開き具合が違うように見えましので、この件について先生に伝えたところ、左側の方が縮瞳という症状が出ているという回答でした。MRI検査を入れてみないと明確には分からないけど、リンパ腫が中枢転移を起こしている事でその状態になっている可能性はあるとの事でした。

アび
アび

この先どうなるのかとかなり落ち込みます

抗がん剤のプロトコールの見直しについて

プロトコール「ノースカロライナ」について

 私たちは先生との相談の結果で、多剤療法である「ノースカロライナ」のプロトコールを選択していて、8月16日から毎週1回、9月6日までに3種4回(ビンクリスチン→シクロフォスファミド→ビンクリスチン→メトトレキサート)の抗がん剤治療を終えておりました。

 ※9月13日はミクルの体調が悪く延期

 本日まで2週間、抗がん剤の投与間隔が空いた事が原因なのかは分かりませんが、今回リンパ腫が再燃した事で以下の様に説明を受けました。

 4回目で再発となると、基本的には今のプロトコール(ノースカロライナ)ではコントロールが難しいかもしれないとの事でした。本来であれば、再導入をするのですが、再導入をすると緩解期間が75%減少するので、休薬期間が設けられてない為多分次入れても最初と同じ効果は得られないとの見解でした。

※抗がん剤の投与間隔が2週間となった事に対する評価・分析はございませんでした


 既存のプロトコールが使えないとなると、教化的に正しい選択肢としては使える抗がん剤は全部試していくという事になるけど、ノースカロライナの場合はビンクリスチン・シクロフォスファミド・リトトリキセード・ドキソルビシンを使用して効果の検証をするが、基本的にビンクリスチンが効果が無い場合はドキソルビシンもほぼ効かないので、この三つ(ビンクリスチン・シクロフォスファミド・リトトリキセード)を使って再燃となるとCHOPに関しては望み薄という見解でした。

アび
アび

まだ始まったばかりなのにというやるせない気持ちです

レスキュープロトコールとは

 ミクルの状態がどんどん急激に悪化している状況で、望みが薄い抗がん剤を使って効果の有無の判定している時間はあまり無いとのお話でした。その中において、CHOPやノースカロライナ等の多剤療法のプロトコールが効かなくなった猫に対して、レスキュープロトコルっていうのがあるとの事でした。色々なプロトコールがある中で奏効率は60%くらいとのお話でした。

 レスキューという名前がついているのはこれ以降のプロトコールは存在しないので、嫌な言い方になりますが、これで効果が無ければ諦めてください、というプロトコールだと言われました。

 基本的には、ニトロソウレア系のCCNU(ロムスチン)かACNU(ニドラン)のいずれかという事で、中枢転移まで進行しているのであれば、脳を通った方が良いのでCCNU(ロムスチン)が選択肢かなという見解でした。レスキュープロトコールについての良い点・悪い点として以下のお話がございました。

良い点 消火器毒性が非常に低い。※吐いたりとか下痢したとかは少ない
悪い点 骨髄抑制がものすごく強い。
    飲み薬なので細かい投与量の細かい調節が出来ない。
    飲み薬なので効果の発現が遅い(2-3週間くらい)掛かる。

今回の抗がん剤について

 ※5回目の投与はビンクリスチンから、Lアスパラキナーゼに変更となりました

 ミクルの状態が良くならない事にはレスキュープロトコールにも進められないとの事で、今日はL-アスパラキナーゼを投与したとの事でした。それで少しでも状況が良くなってミクルの状態が持ち上がってくれればという見解で、L-アスパラギナーゼで行けるところまで行ってレスキュープロトコールに移行出来ればというお話でした。

 ちなみに、L-アスパラギナーゼは腫瘍細胞を滅するというより腫瘍が増えていくリンパ球を枯渇させるLアスパラジンという栄養素を枯渇させる抗がん剤との説明でした。

※他の各症例等を拝見する限り、L-アスパラギナーゼが投与されという事はレスキュープロトコールの一環なのでは無いのかなと思いました。

次回(6回目)の抗がん剤投与について

 次回の抗がん剤投与については、ミクルの体調の上向き具合をみた上での実施という事でございましたので未定ですが、予定としてはL-アスパラキナーゼの再投与かCCNU(ロムスチン)になると思われます。

 ※6回目の抗がん剤はL-アスパラキナーゼかCCNU(ロムスチン)の予定です。

まとめ

今回の診療について

・完全緩解に近かったリンパ腫は僅か1週間で深刻な再燃
・骨髄を含め、多臓器に浸潤している可能性大
・プロトコール「ノースカロライナ」は5週目(3種・4回投与)にして変更
・全体的には厳しい状況


 ということで、かなりの状況の変化がございましたが5回目の抗がん剤投与は終了ました。今回は、よく分からない事が多くいくつかの疑問が生じましたので、聞けなかった事や聞きたかった事は忘れないうちにメモとしてまとめておこうと思います。

 いずれにせよ、ミクルの状態からして厳しい状況との見解を頂いておりますので、心情的には非常に不安な日々となりますが、まずは、いつも通り変わらずミクルに接する事が、ミクルにとっての一番の安心材料になるんじゃないかなと思いました。ミクルと共に過ごせる日々にありがたみを感じつつ、出来る事をひとつひとつ考えながらミクルと共に前に進んでいこうと思います。

ミクル
ミクル

引き続き応援よろしくニャン!

処方箋

・プレドニゾロン錠 ※ステロイド剤
  1日1回7日分 
・オメプラゾール錠 ※むかつき抑制
  2日に1回4日分(夜) 

診療費用

 ・68,113円(税込)

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